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sebi

1995

from Flyer

背火、それは 放浪のかたちである。だとすれば、それに終わりはない。絶えざる 今 ここのプロセス──コミュニカシオン。瞬間のたえざる変形にさらされた唖の声、盲目の炎で それはある。

はかない海岸線に立つ。際、縁に傾いて、荒れる海のざわめきに身を浸す。波のかたちにも そのざわめきにも一戸として同じかたちは無かった。海岸線も瞬間毎に変形しつづけて来た(太古以来)──波間に私たちの乗った一艘の小船が見える。そして音もなくヒラヒラと枯葉が燃えるように転覆した。炎の中の炎。いや 幻視であろうか? 私たちの記憶の薄いフィルムは 打ち寄せる波形のめまぐるしい瞬間のナイフに裁断され、漂流する。私たちは、乱流である。私たちは散乱し、無数に反射する光の粒子の、そのざわめきの、死へと限りなく近接してフルエテイルモノである。

うららは 北の はかない青白い月の光だ。

Aleinの音楽は、冷蔵庫から北大西洋の海をとり出す。

わたしは、淋しいけものの背中で 海岸線の縁をこするだろう──すべての光の粒子の散乱と交流するために 

1995  le Mans

1995
室伏鴻
for 《sebi, Orphan》