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……土方巽が身振りの根源に秋田ってものを持ってきたという、それに関してはどうもある種、エキゾチズムで語られてしまう部分がかなりあると思いますが、僕は、エキゾチズムというのは内的衝動を外へ引き出しあう、さらしあう端緒という意味で、広く肯定的に使いたいし、彼のいう、いのちとかたちの“はざま”とか“あわい”というのは根源的なエキゾチズムであって、それは秋田を発しながら秋田や日本人や人間というところをも超えてしまう体験、われわれを“外”へと流出させる体験だと思うわけです。で、そういうふうに僕が(土方巽と)ふうっと出会った時期に、やっぱり同じようなもので、折口信夫だとか柳田國男だとかにも出会った。その中で一番根源的に思ったのは、折口信夫の『ほうとする話』ってのがあるんですよ。その“ほう”は平仮名で書いてあるんです。僕はそれね、一種のエクスターゼというんですか、いわゆる自我がポッと表に出ていってしまって、まあ一種の白痴、阿呆の呆と通じちゃうんですけど、呆けるってふうに解釈してて、僕らは『ほう』という踊りを今、一所懸命やってるところだけれど(笑)。

宇野邦一氏との対談より

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ほう 1988