Edge、ワークショップ
2012
室伏鴻が、古くからの「舞踏」ファンのみならず若い「コンテンポラリーダンス」の観客の前に殆ど初めて姿を現し圧倒的な印象を残した舞台である。
桜井圭介の影響によって、日本に於いて、ダンスとダンスに非ざるものの境界線がゆるゆるほどけていった季節に話は遡る。今はもうない真黒な空間で、観客は度肝を抜かれるほかなかった。のちにエイリアンにも譬えられた異形の身体の、比類のない背中。空間を一身で支えるのみならず、空間の表情までガラリと変化させ、時間を伸縮自在に操ってみせる力業。そして思う、これは舞踏なのか、と。本作によって、室伏は改めて注目を集めた。
『Edge』は“境界”の危うさということになるかもしれません。つまり、自分の身体へ内向すればするほど、むしろ自分の外部性に触れていく。『常闇形』というテキストを書きましたが、私は最初に木乃伊を踊ったときから、身体の縁とか際(きわ)、隅っこにあるものとか、そういうものに対するこだわりがずっとあって、Edgeという言葉はそこからきています。
石井達朗氏によるインタビューより
(Y.O)