アリアドーネの會 舞踏公演「ZA 1980 ツァラトゥストラ」

1980

Photo: Eiji Sano

Info

日時
1980/04/10-12
活動内容
振付
開催地
東京
開催国
日本
会場名
草月ホール
主催
海王企画
開催事業名
アリアドーネの會 5周年記念
出演
アリアドーネの會(カルロッタ池田/ミゼール花岡、高遠和子、丸金宏子、渡辺ゆう子、中嶋民枝、広瀬真理、ブリジット)

Description

ことあるごとに参照を繰り返しては讃嘆、魅了、陶酔し、書き込みを加え……と、室伏が恋し、精緻に読み込んだ思想家ニーチェの怪物的なテキストに基づくスペクタクル。それまでは大駱駝艦の男性舞踏手が共同で振り付けていたアリアドーネの會は、本作をもって完全に室伏一人の手に委ねられる。室伏の挨拶状によれば、本作は「実験的・冒険的舞踏ミュージカルとも、真制の前衛舞踏とも」「20-21世紀のきざはし、百年回帰、千年回帰してニーチェの舞踏哲学の書『ツァラトゥストラかく語りき』を舞踏の刻む」「ニーチェ:ツァラトゥストラはゾロアスター=デュオニソスに仮託した東洋への激しい恋文だった。日本近代の西洋文化への恋文の相互交換が、この世紀末、多くの結末と結実を迫られる。まずその第一の試みであること」。そして、観客が観たものは、自在に動く鉛色の巨大なモノリス、宙乗り(「ミッドガルドの蛇」。以下シーン名)、氾濫する車輪のオブジェ(「Ring der Ringe 輪の中の輪」)、降り注ぐ大量のコークス(「夢の宮/シルス・マーリア」)、作り物の巨大な牛(ミノタウロス)の首が切り落とされると血しぶき(実際は赤いチョークの粉)が舞い、インドのタブラの律動に合わせ、断たれた首の穴から転がり出てくるニジンスキーの牧神姿の女たち(牛の正午)、笑いざわめく魔女たち(魔女の季節)エトセトラetc……。小道具の枠を逸脱した、存在感満点の物(ぶつ)の数々。雅楽からクセナキスのテープ作品、ブライアン・イーノ、ピンク・フロイド、フライング・リザーズによるキッチュなブレヒト・ソングのリメイク、T・REX「コスミック・ダンサー」、ポインター・シスターズ、キース・ジャレットのピアノ・ソロ、鐘の音、果てはフィナーレのサティ「ジムノペディ(ドビュッシーによるオケ編曲版)」エトセトラの、古今東西の音響がきらびやかに織りなす音のモザイク。卑俗さを怖れず、見えないテキストを見えるものへと具現化していく大胆なコレオグラフィー。」玩具箱をひっくり返したようなバロック的大作。宣伝物から小道具まで、室伏の人脈を総動員した点も、大作たるゆえん。その仕掛けのあまりの複雑さと総量に、舞台の仕込みは煩雑を極めたが、天児牛大が山海塾の面々を引き連れ、全体と細部に睨みをきかせてテキパキと指示を出す、そのウラの仕切りの見事さに舌を巻いたのも記憶に残る。
なお、フィナーレの直前の衣裳は、当時パルコ出版から出ていた三宅一生作品集から、亡き山口小夜子が纏っていたものの引用である。しかし勿論、限られた予算であったことから、外見上近いというだけではあった。
(Y.O)

Photo

Document

001 Letter
002 Flyer
003 Card
004 Ticket
005 Flyer
006 Flyer
007 Q sheet, righting plan

Scrap

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