1998
『肉体の叛乱』で初めて土方巽という稀有な表現者に触れた室伏は、こう振り返る。
その存在に魅入られた。恋に落ちた感じ。その孤独性、彼の体、在り様がカッコよかった。ステージに出てきても吸い込まれるように彼を見ちゃうのは、彼の生成する孤独、切迫。そうすると、土方さんの集団プレイ=振付とか、舞踊化していったものは、ある意味で、できていないんじゃない? 土方が立つことは、もっと過剰なものだったし、作品化したときに、非常に構築的に舞踊化したものは、何だろうかと。その辺は、私は連続として考えられない。…(中略)…私にあるのは、孤独ですよ。孤児性と言ってもいい。いくら手を繋いでも人間は離れているし、その異質なものが手を繋いでいる、その繋ぎ方が非常に切実なものになるじゃないですか。手を繋いでいる、その連帯しているがずれているみたいな、そういう両義的なポジションが私は好きなんだよ(笑)。
(Y.O)