2000
アリアドーネのために振り付けた新作。
パリ
振り付けに当たっては、ニジンスキーのオリジナルにこだわらず、ウィグマンからベジャール、パウシュへとつづくヨーロッパのコリオグラファーによるその変奏についても一切参照することはなかった。ただストラヴィンスキーの音楽については、音楽を担当したアラン・マエと再三話し合い、手直しをした。ストラヴィンスキーはコンピューターの鋭利な刃で砕かれ、さらにメタリックに過剰に変奏され、ダンサーたちの肉体に突き刺さった。私は、銀色、水銀、海を振り付けの線とした。
すでに切り離され、切り刻まれ、別々のものにされた魂や肉体の複数の場所から「ル・サクレとはなにか」を問うこと。民俗や民族への再帰でも、母なる自然への回帰や超自然への帰依でもなく、別の共同体や他のそれを立ち上げる幻想でもない。サクリファイス、真っ平。むしろカオスの海へのノマディックな投身、無数に遍在する無意味な炸裂と輝きをぶつけた。室伏鴻 日記より