漂泊を常とした室伏鴻の旅行カバンにはいつも何十冊もの本が詰め込まれていた。東京の小さなアパートに戻った後は、一息つくと、置き去りにされていた本たちをゆっくりと並べ替えるのが楽しみでもあった。本が生き返るだろ、といいつつ。僕は読書家ではないよ、偏りすぎだからね・・その偏った本に鉛筆で引かれた傍線に、私たちは何を読み取ることができるだろうか。
室伏鴻の本棚の一部