1999
会場は王子駅すぐそばの「北とぴあ」という北区のなかなか立派な施設の13階にある、たぶん普段は会議だとかパーティで使用されるような、平床のバカに白々としたスペース。現代音楽と聞くと、世間はもう役割を終えたふうに割りつけがちだが、そんな先入観を覆す、意気のいい3人、コントラバスの溝入敬三、ピアニスト小内將人(perも)、アンサンブル・ノマドでも活躍するフルートの木ノ脇道元とのコラボレーション。完全な即興であり、不動のまま、常なる訴求力で空間に亀裂を走らせると、それを恥じらうように異言を呟き、ジャンプで床面を揺さぶった次の瞬間、素に返って立ち止まり、踏んばる足指の微細な歪曲でもって観客の視線を細部に集中させ、あるいは背中で大胆に壁を打ち鳴らしてみたり。。凝縮と流動、緊張と冗漫との突拍子のない対比。大駱駝艦時代から背火に至るスタイルからずいぶん遠のいたように見えるが、しかし土方巽「肉体の叛乱」で室伏を魅了したものの一つ、ショーマンシップは一貫して健在だった。
(Y.O)